「コロナ禍でより一層の変化が求められている地元産業界へのエール」太田勲学長が龍野商工会議所・龍野ビジネススクール主催の講演会に登壇しました

2月28日(火)、龍野経済交流センター(兵庫県たつの市)において、龍野商工会議所及び龍野ビジネススクール主催による特別講演会「ニューノーマルにおける産業界と産学公連携活動のあり方~コロナ禍で見えてきた課題と新たな展開~」が開催され、本学の太田勲学長が講師として登壇しました。

昨今の新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、社会・経済に大きな影響を与え、生活様式や消費行動が大きく変化しました。また、企業活動においても、従来の経営戦略だけでは通用しなくなってきており、柔軟な対応が求められています。このような状況の中、太田学長が龍野商工会議所及び龍野ビジネススクールよりお招きいただき、半世紀以上にわたる教育・研究活動の経験を基に、コロナ禍でより一層の変化が求められている地元産業界の方々に向けて講演を行いました。

はじめに、龍野商工会議所の頃安雅樹会頭から開会の挨拶がありました。

続いて、太田学長が登壇し、「ニューノーマルにおける産業界と産学公連携活動におけるあり方~コロナ禍で見えてきた課題と新たな展開~」と題して、コロナ禍で顕在化した社会課題と対応策、急速に進展するDX、産学公連携活動の方向性について講演を行いました。太田学長は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、大学を閉鎖し、すべての授業をオンラインで実施していたときのことを紹介しました。その中で、「すべての学生に公平な受講環境をつくらないといけない」との観点から、受講環境が十分でない学生にルーターとパソコンを無料貸与し、全員が受講できる環境をつくってからオンライン授業を始めた一方で、「大学教育の真髄とは、リアルなアカデミックな空間で、教師と学生、学生同士が語り合い、議論し、切磋琢磨する対面授業、課外活動といったものを通して、トータルに人間的力、知識、教養を身につけていくということではないのか」と考え、本学では早めに対面授業を実施するという方向を打ち出して進めてきたことを紹介しました。しかし、これからの時代は「ICTを活用しない」ということは考えられないことから、「対面とオンラインをベストミックスして大学教育を行っていくことが重要になる」と述べました。

また、太田学長は、大都市から地方への移住を考える人が増えたことについて触れ、地方の町がそうした人々を受け入れるためには「魅力あるまちづくり」が必要であるとし、「まず、自分たちが住んでいる場所・町を誇りに思い、『住みたいな』と思える町にしないといけない。そのためには、町の歴史を大事にして、文化の薫る町、人にやさしいダイバーシティ&インクルージョンの精神で多様性とみなさんの心を包摂するような地域の取組が必要ではないか」と話しました。併せて、産業活動の活性化、企業活動が非常に重要であると言及し、そのための具体的な方策として、ネットワークの活用によるエリアを超えた業態の拡大や、e-コマースなどの積極的活用、日本や世界を対象にしたターゲットセグメンテーションの見直し、ビジネスモデルの変革、企業風土・文化の改革、ものづくりの革新等のためのDXの推進を挙げ、「今はまさに非連続的に変化する時代であるので、龍野商工会議所のような企業団体、経済団体による未来を見据えた産業政策というものを考えていかなければならないのではないかと思う」と提言しました。

※e-コマース(Electric Commerce)…電子商取引ともいい、インターネット上で商品やサービスの売買を行うビジネスモデルのこと。

※ターゲットセグメンテーション…ビジネスの対象者を性別や年齢、居住地、関心など様々な情報で分けて細分化し、ターゲットを絞り込むこと。

DXの推進については、「企業のトップが自ら変革を主導しないと上手くいかない」と強調し、「経営戦略と整合したDX戦略を策定し、全社的に取組を推進していく必要がある」と述べました。DXを活用した成功事例の1つとして、本学の工学部に在籍していた学生による卒業研究の活動の中で発明され、実用化されたベーカリースキャン(パンのレジ打ち作業の自動化)を紹介する場面もありました。産学連携のあり方については、「産学連携・地域貢献は、本学のミッションであるというふうに思っている」と述べ、地域創生イノベーション活動によって地元産業界の活性化や地域文化の向上に貢献し、はりま産学交流会、兵庫工業会、姫路市・姫路商工会議所との連携活動で始まった本学の産学連携活動を全県・全国展開に発展させ、なおかつ初心を忘れないこと、発想の転換やダイバーシティを尊重することなどを挙げました。

講演後に行われた質疑応答では、複数名の参加者の方から質問が寄せられました。

講演会の最後には、頃安会頭から太田学長へ花束の贈呈がありました。

ご参加いただいた皆様ありがとうございました。今後ますますのご発展を祈念しております。

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