川瀬 毅先生最終講義が開催されました

 1 月 31 日、工学研究科 応用化学専攻教授 川瀬 毅先生の最終講義が姫路工学キャンパス C 棟 1 階 102 室で開催されました。川瀬先生は、2008 年に工学研究科教授として着任されてより、16 年間有機化学の分野で研究と教育にご尽力を尽くされています。
最終講義のタイトルは『45 年間の研究・教育活動で思うこと』。教員と学生合わせて40数名が出席しました。
 「研究で思うこと」では、「思い通りに進まないことが多い」と前置きされながらも、恩師の小田先生との出会いで構造有機化学の世界に進まれ、炭素の新しい転位反応を発見されて研究をとても面白く感じた経験を熱く語られました。研究においては、人やテーマとの出会いは常に大切であり、留学時代に正宗先生とケイ素化学に挑戦した経験や、Moore 先生の論文に出会い、ベンゼンと三重結合から作られる大環状化合物に興味を持って研究を進め、フラーレンとの錯体の X 線結晶構造解析に成功した経験なども語られました。強い発光特性を持つ化合物に出会い、有機発光素子に関して企業と共同研究をする機会を得られたこと、一方、企業より求められる要望の変化に大学側が対応していくことの難しさなどについても語られました。
 「教育で思うこと」では、有機化学を教えることの難しさについて語られました。「有機化学は他の科目と比べて覚える単語の数が多い科目の一つ。そのため、有機化学に興味がない学生には地獄のような講義になりかねない。それを回避するために、学生に有機化学の有用性を伝えたい。有機化学が社会にどのように役立っているかを伝える必要がある。」と力説されました。その対策として、先生は教科書「有機工業化学:有機資源と有機工業製品を結ぶ有機化学」を出版され、それが評価されて学内の令和 5 年度の最優秀教育活動賞を受賞されています。最後に先生は、「将来の私達の課題はエネルギー問題であり、科学技術の発展はますます必要になるでしょう」とエールを送られて最終講義を終えられました。


(応用化学工学科 西田純一)

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